恋愛小説 「遠回り」
まさかこんな事になるなんて・・・
君との日々、君を想っていた時間・・・・
・・・・まるで遠い昔のよう。
~最終話 「ラストチャンス」~
君の横顔を見てた。
卒業の言葉は右から左へ。
君の横顔を見ながら、君との数々の思い出を思い出していた。
まだ今なのか?もう過去なのか?
君が遠く感じた。
僕は友との別れに泣きじゃくる周りの人達を冷めた目で見ていた。
それよりも、今日一緒に帰れるかどうかが心配だった。
(はぁ~今日がラストチャンスか・・・・)
君「ね、今日一緒に帰れる?」
周りを気にしながら意外にも君から誘ってきた。
僕「んん~大丈夫だと思うよ。」
わざとそっけなく答えた。
君「じゃあ、また後でね。」
一気に心臓が唸り始めた。はっきりと鼓動が聞こえる。
ラ、ラストチャンスが来てしまった・・・。
願っていた事なのだが、いざそうなると不安で頭がいっぱいだ・・・。
ちゃんと言えるだろうか・・・・。
君「お待たせ!帰ろっ!」
僕「お、おう。」
不自然な程、普段通りの君に少しとまどってしまった。
君「卒業しちゃったね!なんか実感わかないな~。」
僕「そうだね・・・」
君「みんなバラバラの道に進むんだな~。想像できないよ。」
僕「うん・・・・」
君「あ、そういえばこの間誕生日だったって言ってたよね?」
僕「うん。」
君「じゃじゃ~ん!はい、誕生日プレゼント!」
普段なら飛び跳ねる程嬉しいが、今はそれどころではない。
僕「あ、あぁ。ありがとう。」
君「帰ったら開けてみてね☆」
僕「う、うん。」
君「ねぇ、どうしたの?さっきから全然喋ってくれないじゃない。最後なのに・・・」
君は怒っているのか泣いているのかわからない表情を見せた。
僕「最後か・・・そうだよね。俺さ、実は君に話さなきゃいけない事があるんだ。」
(出だしは順調だ)
君「な、何?」
君の緊張が伝わる。
僕「じ、実はね、俺・・・・」
君「・・・・・・・?」
僕「駅までの道をいつも遠回りしてたんだ!ゴメン!ホントにゴメン!」
君「え?あはは!なんだ。そんな事なの?」
僕「え?いや、そんな事って・・・」
君「知ってたよ。」
僕「えぇ!?知ってたって・・・・えぇ!?ホントに?いつから?」
君「ん~とだいぶ前から。」
僕「じゃ、じゃあどうして?どうして気付いてないフリしてたの?」
君「そ、それは・・・・・・一緒にいたかったから。」
照れくさそうに言う君の姿が愛しくてたまらない。
僕はそれを見て決心した。
僕「じゃ、じゃあ、こっちもちゃんと言うね。」
僕「実は俺・・・君の事が・・・・」
君「う、うん・・・」
僕「す、・・・す、す・・・!」
君「!?」
僕「す、素晴らしい人だと思います!!」
君「え?」
僕「いや、だからその・・・」
君「何それ~??あはは!いきなり何言うのよ~!」
僕「あ、あはは。」
君「はぁ~緊張して損した。」
僕「・・・・・ゴメン。」
君「もういいよ。気持ちはなんとなくわかったから。」
僕「え!?そ、それじゃ・・・」
君「・・・・うん。私も同じ気持ち。」
僕「ホ、ホントに!?」
君「だけど、私は今返事をする事はできないの。」
僕「ど、どうして?」
君「だって、あなたと付き合ってから、東京に行ったら寂しいじゃない。」
僕「そ、それは・・・・」
君「でもスッキリして良かった。」
僕「な、何が?」
君「言ったでしょ?やり残した事があるって。お互いの気持ちが確かめ合えただけで私は
幸せ☆」
君は少し寂しそうに笑った。
(こんな時こそ僕がしっかりしなくては!)
僕「そっか・・・。そうかもな。君の気持ちがわかっただけで僕も満足だよ。」
僕「応援するよ、君の夢・・・」
君「ありがとう。」
僕「あぁ~あ、結局告白できなかったな~。」
君「うふふ。じゃあ、こうしない?」
僕「ん?」
君「また次会った時に告白してよ!その時はちゃんと言ってよね☆」
君の満面の笑みに僕は思わず抱きしめたくなった。
しかし、告白もできない僕にそんな勇気はない。
僕「う、うん。わかった。」
とうとう駅に着いてしまった。
君「じゃあ・・・・・・・・・・またね。」
君の寂しそうな顔に僕は思わず抱きしめたくなった。
しかし、告白もできない僕にそんな勇気はない。
僕「じゃあ、またな。」
僕らはそのまま帰路についた。
少ししてから、君を懐かしむように誕生日プレゼントを開けてみた。
貝殻の形をした携帯ストラップだった。
思わず君と海へ行った時の事を思い出してしまった。
でも、これでお別れなわけじゃない。
君が東京へ行くまでの間、もっともっと君と海へ行ったりしたい!
そんな事を考えて浮かれていた。
すると、ストラップの下から手紙が出てきた・・・
僕「ま、まさか!そんな!!」
僕は走り出した!全力で走った!
手紙には君のホントの気持ちが詰まっていた。
東京へ行くのを迷っていた事、
ホントは「遠回り」に気付いていた事、
僕との帰り道を楽しみにしていた事、
僕と海へ行った時の事、
そして・・・・
今日、そのまま上京してしまう事。
僕「あんなに時間はあったのに!笑いながら話していたのに!
今日だなんて!くそっ!なんで言ってくれなかったんだ!!」
僕は走りながら叫んだ。
僕「東京へ行くならあの駅へ行くに違いない!頼む、間に合ってくれ!」
服はグシャグシャになり、汗だくで膝を擦りむいたまま、僕は駅にたどり着いた。
僕「はぁはぁはぁ。なんとか電車には間に合ったぞ。何処にいるんだ!?」
必死に君を探した。
僕「何処だ!何処にいるんだ!」
その時、前の車両にうっすら君の姿が見えた。
すぐさま走って君の所まで行った。
君も僕の存在に気付いた。
君は座席に座ったまま僕を見て泣き出した。
君に言いたい事がまだたくさんある。しかし、窓が開きそうにもないので
僕は機転を利かせて、携帯に電話をかけた。
泣きながら君は携帯を手にとった。
僕「・・・手紙読んだよ。どうして?どうして教えてくれなかったんだ!?」
君「・・・・・・・笑顔で、笑顔でさよならしたかったの。」
僕「で!でも!!・・・・」
思うように言葉が出てこない。
君「ごめんね。ホントは言うつもりだったんだけど、言ったら涙が出そうだったんだもん。」
君は泣きじゃくりながら言った。
君「私も・・・・告白できなかったね。」
僕「・・・・お互い告白失敗したわけだ。」
君「・・・・・うん。」
僕「大丈夫。また会えるよ!その時は・・・その時は!」
プルルルル~
計ったかのように電車のベルが鳴る。
僕「また、また必ず会えるよ!!」
君「うん!ストラップ・・・・たまには私の事も思い出してね・・・」
電車が動いて圏外に入り、君の泣き声が途切れた。
僕はずっと電車を見ていた。
また会えるまた会えると呟きながら・・・・・
どうやら、僕らはまた「遠回り」をするみたいだ。
近道なんて恋には必要じゃない
もっと大事な道をいつも
遠回りしてるよ・・・・・・・
~終~
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コメント
読んでる途中から涙が…(;_;)
映像が頭ん中に浮かんできて想像しやすかったょ
投稿: ゆか | 2008年6月26日 (木) 23時59分
>ゆか
ありがとう~!
想像しやすくするのが目標だったので嬉しいです。
投稿: しょう | 2008年6月28日 (土) 21時03分